災害に学ぶ

奈良の秋は中秋の名月に始まり、正倉院展で締めくくるのですが、今年は大きな台風が2度も上陸して、各地に大きな被害をもたらしています。例年のように、すすきの穂の向こうに満月を愛でる風流はどこかに飛んでいきました。被災された皆様に心よりお見舞いとと早期の復旧をお祈りいたします。
1997年に京都議定書で地球環境について各国の意見の取りまとめとCO2削減の方針が決められてからすでに20年が過ぎました。専門家によると地球温暖化の大きな原因は二酸化炭素であり、その排出を極力抑えることの重大さが示されました。報道によるとアラスカやシベリヤの氷河やツンドラ地帯の永久凍土がこの数年で大規模に溶け始めています。北極地域の氷河は地球の温度調整に大きな役割があると言われています。この状況を目の当たりにしてもなお、各国は自然に優しい天然エネルギーへの代替よりも、産業を優先して、環境に配慮した取り組みはさらに後退しているようです。 東日本大震災と大津波後に、政府は予想をはるかに超える災害との判断から、早急の対策を表明しましたが、未だに大規模な災害対策のみが行われようとしています。防潮堤はさらに高くなり、河川の堤防は強固になり、治水対策としてダムが作られています。一時的にはこのようなインフラ整備も必要だと思います。しかし近い将来に地球環境が悪化し、想定を超える災害が発生する可能性があるとの報告を見ると、根本原因の是正に取り組む大切さを感じます。 スウェーデンの高校生環境活動家のグレタ・トゥンベリさんは、先日、国連の環境委員会で“未来は若者のものであり、高齢の政治家が未来を不安定なものにすることを黙認できない、あなたたちを許さない”、と主張しました。今までの政治や産業及び軍事力を背景にした勢力構造に対して、地球は人類も含めて生息する生き物みんなのものであり、一部の国や政治家が好き勝手にしていいものではないことが明らかにされました。 その輪がSDGsによってさらに大きなうねりになり、CO2排出の当事者である企業でも環境取り組みを公表するESG投資のプラットホーム整備が進んでいます。福祉も同様に、障害のない方や高齢でない方が決めたる仕組みから、当事者である方たちが意見を伝えて、希望に沿った内容にする活動が始まろうとしています。ようやく日本も障害者権利条約批准したこともその一歩になります。 私たちは日常の忙しさで、いつのまにか足元の大切なことを見過ごしそうになります。誰かに任せるだけでなく、自らも考え、行動し、新たな可能性を追い求める、この時代に合う価値軸を作り出すことを期待したいものです

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挑戦的学び

先日、奈良の福祉及び就労支援に関わる人たちと、障害のある学生を支援する第3回連続講座を開催しました。奈良県大学連合様や奈良大学様の協力を得て、大学と専門学校の学生支援担当の方にお越しいただき、状況や課題について報告いただきました。多くの方に参加いただきましたので、登壇者と意見交換ができるように、スマホで専用サイトに講演や報告について、意見や質問を書いていただきました。通常は講演後に会場から挙手で質問をいただくのですが、今回は講演中から自由に意見を書いていただきました。
質問には、大学などの受け入れ体制や入試や授業の支援など具体的なものから、学校+福祉+医療+労働が連携した講座でしたので、地域の支援体制への期待や感想及び懸念まで多岐になりました。時間の関係ですべての書き込みに回答できませんでしたが、その後のアンケートから、スマホで自由に意見を書くことができる企画を評価するものが大半でした。今の人たちがスマホを生活の多くの場面で活用されていることを新ためて感じました。
ぷろぼのは、障害者の就労を支援していますので、職員にいくつかの学びをお願いしています。障害福祉や就労について知識を得ることは当然なのですが、それに加えて、IT系のスキルの向上も目指しています。この福祉とIT知識の両方を習得する取り組みを実践して、意外と職員には大変なことなのだと分かってきました。確かに福祉はアナログであり、ITはデジタル・論理性なので、考え方に違和感や戸惑いがあるのかもしれません。“パソコンは苦手、Webも難しい”意見も聞きますが、一方で中高生の大半がスマホを持ち、実に巧みに使いこなしています。世代の違いなのかと感じながら、それでも最低限の操作や理論は分かってもらいたいと期待もしています。
人はいくつまで挑戦的な学びができるのだろうか、新たな出会いにいつまで驚きと感動で気持ちを高めることができるのだろうか、永遠で会ってほしいとの思いから、方針に“下学して上達する”の一文を加えています。これは身近なことを日々努力することで、その先にある大きなものを知ることができる。の意味ですが、挑戦的学びにはこのような思いを込めています。
障害者福祉の就労支援は難しい課題が日々満載ですが、それを新たな知識や体験の出会いと捉えることが大切になります。福祉を知り、人を知ることで他のすべてのことが魅力的になることを期待したいものです。

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災害から

大型台風が首都圏を直撃してからすでに10日が経過しました。千葉県ではまだまだ被害の全貌も分からず、ライフラインの復旧も大幅に遅れています。ニュースによると停電の長期化で養殖の伊勢エビやアワビが死滅したことや名産で収穫期を迎えていた梨や落花生にも大きな被害がでて、例年を大幅に下回る出荷になるとのことです。一方障害者施設でも、アイスクリーム製品を製造している施設では、停電で温度管理ができなくなったとの報告があり、また胡蝶蘭などを生産している施設では、エアコンが使えなくなり、これもおおきな打撃を被ったとのことです。
このところ地震や台風などで九州や中国地方で大きな災害が出たとの報道がありますが、まさか首都圏でこのような大規模災害があり、しかも復旧が長期化することは想定されていなかったように感じています。最近よく聞かれる「想定外」の出来事が頻繁に起こることにどのような対策を講じればいいのか悩むところです。
もし奈良でこのような事態が生じたときに、自家発電の設備はどうなっているのか、水道が止まった時に飲み水や生活用水はどうすればいいか、屋根が破壊された家屋で修理できるまでどのような暮らしができるのか、また病気によっては日々の治療が必要な方もいるので、医療機関の復旧までどのように対応すればいいのかと事前に想定することは多々あります。ぷろぼのでは新大宮本部に数トンの生活用水を備蓄していますが、発電装置やその他の食料品や衣料、寝具はまったく足らないのが現状です。
また、我が家でも災害対策としては、少しの飲料水と缶詰などの備蓄しかしていないのが現状です。仮に電気と水道が止まり、屋根がなくなる被害があるとたちまち大混乱になります。人は自然に対して無力であることは十分にわかっていても、いつのまにか科学技術を過信し、公共工事などの対策があればどうにかなるとの期待を抱いてしまいます。“私だけは大丈夫”との神話を意味もなく妄信しています。
福祉施設は災害時の一時避難施設の役割を担っています。障害がある方が一時的に非難し過ごすことができる場に指定されています。それでも制度として備蓄品の量や設備環境に詳細な規定はないので、自主基準を定めて対策を講じるしかありません。ただ私どもだけでできることなど知れていますので、このような機会から地域の福祉施設との連携を日ごろからしておくことで災害時に迅速な対応ができると考え準備を進めていきます。

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のんびりと

奈良でも朝夕は涼しく、窓を開けてエアコンなしで眠れる日が増え、長袖のパジャマが活躍する季節になりました。例年ですと、この時期は畑の夏野菜を片付けて、スコップで畝立てをするのですが少々バテ気味で思うように進まないので、畑の仲間に連絡して小型の耕運機をお借りすることにしました。そのおかげで今年もなんとか冬野菜を植えることができそうです。いつも野菜作りは無理しないで、できる程度でいいとの思いはあるのですが、毎年、近所にお配りしているので、今年も期待されていると勝手に想像して、頑張って昨年並みにすることにしました。
少し脱水状態で家に帰ると、近所に住む娘の子ども(大学生の孫)がぶらりとやってきて、インカレで熊本に行くので遠征費の協力を申し出てきました。これまで無断で小遣いを渡すと娘に叱られるので、娘の了解を得ているのかと確認したら、孫は娘(孫の母)に話したら、即座に“おじいちゃんに相談しなさい”とのことで、我が家に来たようです。娘のおおらかさに感心しつつ、祖父の役割はこれぐらい・・と納得して快く協力しました。孫にインカレの目標を聞いてみると優勝などでなく、勝つ相手には勝てるが、強い相手にはそれなりに・・の返答でした。
このところ学校を卒業して就職された方の3割は3年以内に離職するとの報告があります。私の時代の就職状況とまるで違っているので判断に迷いますが、せっかく就職したのだから、もう少し頑張ってみればとの思いはありますが、彼らに聞いてみると、会社が嫌なわけではないけれど、若い時に多くの企業や職種を経験したいとのことです。また働く目的も、経済的な理由だけでなく、働くことに意味があり将来の準備に役立つものを身につけたいとの意見が出ています。
国が豊かになり、少子化が進み、情報通信の時代を生きる人たちは、成功や納得に多様な基準をもつように感じます。成功も収入だけでなく、社会との関係性や自ら作った目標との近似性を大切にしているようで、決して過去の成功像にみられる画一的なものでないことに気づかせてくれます。昭和の「猛烈」を生きてきた私からすると、令和の「のんびりと目標に向かう」生き方はとてもうらやましくなります。この冷静な生き方が社会の多様なものを包摂する基本になるように感じます。彼らには平和な時代の生き方を大切にしてほしいと願うのみです。

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若者がいない

今年も多忙中に猛烈な暑さになり、やっとのことでお盆休暇を利用して、毎年伺う避暑地に家族で行きました。そこには地元の方が良く利用する人気の居酒屋があり、おいしい野菜や焼き鳥とお刺身を出してくれます。今年も料理を楽しみに伺いましたが、店主が高齢になり、営業はしているのですが、お料理は最悪でした。あの大将がこんな料理を出すのかとがっかりして、早々に店を出ましたが、ふとこれまでの素晴らしい料理やもてなしを思い出し、感謝の気持ちが噴き出してきました。年老いても、なんとか店を開けているだけでも立派だと、改めて大将の頑張りに敬意を表する気持ちになりました。
最近、中小企業家の会合で事業継承の話題が多くなりました。報道では、商店や企業を廉価で販売するM&Aサイトが人気になっています。以前なら考えられなかった黒字で優良企業でも後継者がいないことで閉鎖する事態が生じています。商店街の名物店が閉鎖して廃墟になる、長い年月をかけて培った信用や技を手放す経営者の思いは複雑だと推察します。
山間部が多い奈良でも人口が減少しています。潮が引くように中山間部から耕作放棄地が増え、徐々に元の山に帰っていきます。放棄した農地は3年経つと元に戻すことが難しくなります。先人が簡単な農具で苦労して開墾した農地が簡単に自然に帰る姿は、自然の雄大さを知る機会にもなり、納得感と共に申し訳ない思いにもなります。
今年6月厚労省の発表によると、2018年の人口動態統計月報年計の出生数は前年比27,668人減の918,397人で、100万人を下回り、調査開始以来過去最少になり、出生率は1.42%で3年連続の減少でした。都道府県別の人口増減でも東京など大都会は増加していますが、田舎ほど減少幅がひどくなっています。
この対策になるようにと、2015年に国連サミットでSDGs Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)が提唱され、17の目標テーマを掲げて、地球上の誰一人として取り残さない leave no one behind ことを誓っています。SDGsは発展途上国のみならず,先進国も取り組むユニバーサルなものになっています。
日本では人口減少で都市部はそれを実感することは少なく、世界では人口増加によって後進国が食糧危機に喘いでいます。誰かが勝ち、誰かが負けるような社会をつくると、豊かさや欲の終わりのない競争が始まります。一方福祉はモノや思いを共有する考えがありますので、“負けすぎない、また勝ちすぎない”、ほどほどのバランスを求めています。SDGsの3番目に健康・福祉 well being があり、お互いさまの気持ちが大きな力になることを期待しています。

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