福祉の魅力

早いもので来週は12月、奈良公園の紅葉も今が見ごろで徐々に落葉していき、今年も“おん祭り”を待つだけになりました。奈良が発祥のものとして、清酒、能楽など多々ありますが、福祉の行いも1300年前の平城京の時期に地元の寺社から始まったと伝えられています。その当時の寺社は、教育や医療、また日々の暮らしを支援する福祉の役割を担っていたようです。
現代では、福祉の役割もさらに多様になりました。その中で障害者の暮らし方が変わってきて、障害者も地域社会で自立した生活をすることになり、特に働くことで経済的にも自立できる可能性を求める取り組みなりました。福祉の就労支援の取り組みは、主に社会に出るための準備プログラムになります。会社など組織に通勤して皆さんと一緒に働くには、集団のルールを知り、守ることが求められ、それを「社会性」とされています。
まだまだ障害の有無にかかわらず、働くことの目的は“お金を得ること”のみと思われている方がおられます。これも大切なことですが、日々、職場で多くの方と出会うことで、新たな考えや取り組みを経験する機会を得ることになり、それを繰り返すことで徐々に「社会性」が身についてきます。働くことは、他人と出会い、話をすることで得ることがたくさんあり、自分を育ててくれることにもなります。
その準備のために福祉の就労支援サービス事業があります。直接働く技を習得することも大切ですが、長く継続して働くためには、どうしても他人の理解や協力が必要になります。よい印象を他人に持ってもらうことで予想を超えて関係が広がることはよくあり、“想定外”のメリットになります。そのような機会と訓練の場を提供し、職員が伴走して準備を進めることで将来の可能性と安心感を具体化することができるようになります。
最近は4人に3人の方が大学に進学されます。そこには将来の可能性を広げ、安心を担保したい目的があり、進学で得られるであろうことに思いを巡らせる機会になります。新たな分野の知識や経験から、時には資格を得て社会で活躍し、貢献できる技能を習得することもあります。それと同じように、現代の福祉は従来の介護や支援を受けることから、地域で働き暮らすことを共に学ぶ場になっています。社会で生きる技を知り、それでも自分のペースを大切にして学ぶスタイルを福祉は取り組んでいます。

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思いと目線

正倉院展が終わると奈良も紅葉と共に冬が近づいてきます、今年も多くの方が訪れてくれたことに感謝します。
近年の障害者福祉については、さらに細やかな対応が求められるようになりました。そのため職員は利用されている方のお気持ちや障害の程度などに応じて、彼らが社会に参加するための道筋を個別に具体化します、みなさんの家庭環境や生い立ち、学歴や職歴、思いや価値観、また目標や夢などは千差万別なので幅広な受け止めが必要になります。
職員は、利用される方の日々の言動を注意して見聞きし、成果や課題から希望されていることを推測して福祉的な支援につなげていきます。ぷろぼのには、事前に準備している支援プログラムや仕組みはありますが、それを的確に運用するには、現状をできるだけ丁寧に把握して、その情報から職員が総合的な支援をすることになります。
ただ、福祉の職員であっても「人」なので、その時の体調や感情によって判断に違いが生じることもあります。例えば、昨日まで簡単にできていたことが今日はできない、このような事象があるときに、一般的には“なぜなのか”と原因や理由を考え、その対策を講じますが、良くないことですが、まれに感情によって期待する目標を下げてしまうこともあります。
障害者福祉がサービス制度になったことで、職員には日ごろから高度で安定した支援が求められるので、多様な一般情報や直接支援に関わる専門的な知識を学ぶことになり、分野も健康のこと、生活全般のことから障害や病気のこと、就労のことなど多岐になります。
福祉で働くことの難しさは、この知識の広さにあり、システムやマニュアル化では対応できない部分もあります。また福祉の知識や経験が長くなると往々にして自分基準の知識の習得や活用がされることもありますので、その点の注意も必要になります。その際に重要になるのが職員の「目線」であり、どの立場で成果や課題を見聞きしたのかが大切になります。
利用される方たちの「目線」を心がけることで、真の課題や夢が見えてくることがあります。彼らの洞察力は繊細でとても高いので、それを認識して繰り返し的確な福祉支援を提供したいものです。

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障害者福祉サービスNOW

退院してから2週間が経ちました、おかげさまで徐々に体力も回復してきましたが、同時に年齢が原因で肺炎になったことの重大さを痛感することになりました。免疫力が低下し必然のようにこの病気になる、これが老化の顕著な表れとのことです。ご心配をおかけしましたがこれからは皆様や家族の助言を受け入れて、真摯に日々の活動に取り組みたいと考えています。
障害者福祉サービス事業は、私どもが取り組んでいる福祉事業ですが、現在は単に福祉事業ではなく「福祉サービス事業」となります、大きな違いは利用者が福祉事業所を自由に選択し利用することができますので、一般のサービス事業のように「客と事業者」との関係になります。制度の趣旨としては、従来の福祉事業より数段高度な福祉支援を求められていることになります。現在、福祉事業所を利用する際は料金が発生し、大半は税金で対応することになり、名目も「支援給付費」になり、利用者の利用頻度に応じて事業所に支払われます。
障害者自立支援法(現在の総合支援法)が実施されたことで、福祉事業が支援給付費に相当する成果を利用者に提供することが義務付けられ、利用される障害者の立場になって、適切な支援をすることになります。福祉支援の手順は、利用開始時に本人の障害特性や思いと福祉事業所の役割をマッチングするために計画相談を行い、利用が開始されますと日々の訓練の成果や課題を集計・分析して今後の支援を個別支援計画書として作成します。
職員は概ね数人の利用者を担当しますので、日々の利用状況や多様な訓練の適応性、また障害特性の言動や態度、継続性などを確認し記録していきます。目標は働く準備を整えて就職することになります。
福祉サービスを担当する職員にとって大切なことは、一般のサービス事業と同様に、利用者の日々の細かな成長や戸惑いを見極めることになります、そのために絶えず現場での気配りが求められ、この緊張の連続が今の障害者福祉サービスになります。
支援給付費に見合うサービスを提供するとは、利用者の特性や思いを考慮して、成果を示すことになります。このように新たな福祉が始まりましたので、私どももこの趣旨に沿って職員の育成と福祉サービスのさらなる充実を目指していきます。

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年齢と肺炎

奈良では例年10月上旬に稲刈りが終わり、田んぼの切り株の周りに小鳥がえさを求めています。朝晩も急に冷え込むようになり風邪を引かないように気を付けていましたが、なんと9月末に肺炎を患ってしまいました。咳も出ず、高熱のみなので初期の内科医の診断も他の病名が予測されていました。そのために発症から病名が決まるまでに数日を要し、入院することになりました。約2週間の治療で強力な抗生剤20パックの点滴を受けましたので、平熱になってからも体力の低下とともに倦怠感が続きました。先週から職場に復帰はできましたが、半日程度の業務でも疲労が出てしまいます。Drからは2週間の治療期間があれば、体力が戻るのに倍の期間が必要になる、とのアドバイスをいただいていますが、それを実感しています。
ふと人生70年を振り返ると、成人になってからインフルエンザなど38度以上の発熱の経験がないので、これが7日間続くことの大変さを身に染みて感じました。家族からは年齢相応の生活をするようにとの厳しい“指導”を受けています。TVで65歳以上の方は肺炎に注意との放送がありますが、これまでは他人事として観ていましたが、そうではないことに気づかされました。
入院時に特に気になっていたのが、“野菜畑”です、10月上旬のこの時期は9月に種まきした白菜、大根、水菜、かぶ、小松菜、ほうれん草などが一斉に芽を出す時期なので、虫との戦いがあります、2週間も放置すると芽や葉が無残に食いちぎられ、茎のみになることもあります。近年、手ごわい小型の虫が大量に発生しているので定期的に手で捕まえてつぶすしか対策はないので、それだけに入院は痛手になります。退院して2週間ぶりに畑に行きましたが、かぶが全滅していました。
野菜は手を掛ければかけるほど応えてくれます、逆に手を抜くと途端に大きなしっぺ返しがやってきます、野菜を育てることは、手順に沿ってとてもよくできていると思っています。なにか子育てに通じる点が多々あります、愛情豊かに育てられた子どもたちは、無意識に余裕のある表情をして素直に受け入れてくれ、また他人のことにも関心をしめしますが、不足していると自分のことで精いっぱいの表情をすることが多々あり、絶えず何かを求めているように感じられることがあります。
福祉に関わっていると、そのようなときでも“自分のこと”から“他人のこと”も同じように理解し対応する習慣ができます。いつのまにか「主語は私ではなく私たち」になりますので、自分一人が頑張っているとの思いも薄れて、みんなの中に自分がいることが自然に思えるようになります。やはり人間は集団の生き物なのでしょうか。

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福祉の現場にAI

中秋の名月、奈良が最もかがやき雅な季節になりました。
障害福祉の就労支援の現場では、日々訓練プログラムに応じて個別の状況、成果、課題を記録しています。それらを6か月毎に集計し簡易な分析をして職員が個別に職業能力を評価する資料や今後の訓練や目標を示す「個別支援計画書」を作成します。
この日々の資料を記録しているWebデータベースにはすでに膨大なデータが蓄積されています。職員は日々の訓練の成果などを振り返り、計画書の個々の項目と総合所見を書いていますが、人間のすることなのでどうしても職員差や、期間的な印象の強弱に影響されて客観的な計画づくりができないことも生じます。
これらの訓練記録や計画書から、職員がデータのどの部分に多くの影響を受けたか、どのような思考をしたのかを知るために、データをAIの機械学習処理することにしました、こうすることで職員が書き示した項目別の文の思考ロジックを解明したいと考えています。目標は障害者の職業能力を評価するエンジンをつくることになります。
一方、福祉施設がITやAIの専門家を多数雇用することは難しいので、3年前から外部に福祉型事業協同組合(あたつく組合)を作り、IT系の業務の請負などをすることで徐々にエンジニアが集まってくれました。彼らと開発チームを編成して、今回のプロジェクトを行います。私どもの利点はエンジニア集団だけでなく、評価エンジンからの一次データを福祉の現場で支援している職員が精査して定期的に指摘、改編することができることになり、AI評価エンジンを福祉的に育てることになります。
障害者の就労支援は、障害特性から年齢、性別、職歴、成育歴、社会性の程度、障害の受容性などの要素が現状の職業能力と可能性に大きく影響することになります。評価エンジンを開発することでこれらの項目と結び付けてみることも今後の課題になります。
今回の研究開発については、公益財団法人三菱財団様から助成をいただいて進めることになりました。お礼と共にプロジェクトの成果を生み出すことができるように頑張っていきます。今後ともご理解とご支援をお願いいたします。

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