無重力な輪

汗、汗、汗の冬野菜の植え付けが無事に終わりました、2週に渡り土日は朝から夕方まで畑仕事をしていました。さすがに残暑、休憩の合間に吹く秋風が汗を抑えてくれましたが、気がつけば脱水状態が始まっていたようで、いつもよりビールの量・・が増えていました。すでに大根や白菜たちは小さな芽をだしてくれているので、虫や大雨に負けないように大切に育てています。10月の末には真っ白な大根に青々とした葉っぱが伸びてきます、大根畑が真っ青な秋空と相まって素敵な景色を演じてくれます。鍋と共にこの景色も秋のごちそうになります。

昨晩は中秋の名月でした、お月さんがもっとも似合う地域は「やっぱり奈良」だ、・・と思いながら、山間から昇るまん丸な月を眺めていました、月見にはやはりお酒が似合いますね。

ぷろぼの福祉ビルが竣工し事業を始めて2か月が経ちました、この間に想像をはるかに超える人たちに来ていただきました。驚きなのですがお客様がビル内に身を置くとそれぞれの方が独自の思いをこの木造ビルに投影してくれ、以前から温めていた夢が具体化できる・・などと、自然に現実の空間で想像を広げてくれています。

5階のセミナー室ではすでに外部の方の利用がはじまりました。市民活動や福祉活動に類する講座や勉強会が計画されています。ここから新たに起業する方が生まれることを楽しみにできるようになりました。1階の食堂も意味不明に自走しはじめました、当初は内部の方用の食堂として、十分に準備ができた段階で地域の方も利用できるようにしたい、などと計画していましたが、すでに昼の食事だけでなく、スイーツタイムだけでなく、夜の夕食型居酒屋が始まり、この空間が変身・浮遊しています。

小グループの食事会から自由な飲み会まであり、日々、新たな出会いがあるようです。食堂は職員等が料理づくりや接客をしています、障害のある方も当たり前に働いています、誰もが楽しんでいるように見えます。学生時代に“まかない付き”のバイトはありがたかったことを懐かしく思い出させてくれます。

皆様の思いが多角形の輪を浮かべてくれているようで、それが日々自由に流れ、形を変えてくれていることに不思議さと共に大きな希望を抱かせてくれます。近い将来、この輪から無数の触覚が出て、互いに刺激し絡み合い成長することになると、その先はどのように変形するのか楽しみになります、それが見えるようになることをご期待ください。

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若者への期待

猛暑が少し和らいで、奈良も朝夕には秋を感じる季節になってきました。例年のことですが今が秋野菜の準備の時期になります、畑にある夏野菜を片付けて畝を作り直し、肥料を調整して最適な土づくりをしていきます。この週末は、白菜、大根、かぶ、水菜などの種をまくことになります。もう少し若いときには畝を作ることなど簡単にできていましたが、今では息を切らし、汗びっしょりで作業をすることになり、日ごろの鍛錬の大切さを痛感するばかりです。この作業をしておけば11月下旬には収穫が始まります、その頃は寒さもあり、鍋のおいしい季節になっています、牡蠣や牛鍋を夢見てもうひと踏ん張りしていきます。

先日、障害のある若者むけに、何回目かの“ロボットを動かそうプログラム”を実施しました。今回は少し高度になり、センサーの設置やモーターを付けることに取り組みました。それぞれにブロックや部品を活用してロボットを組み上げていき、プログラムで動作や時間などを設定すると、問題がなければロボットは設定した工程で動作をしてくれます。また問題が生じると部品の調整やパラメータ数値を可変させて適当な値を見つけていきます。自分たちで試作したロボットがほぼ意図に沿って動いてくれることは最高の喜びになります。

また、夏休み企画として、“発展途上国にパソコンを送るプログラム”も実施しました。国内で使用された中古PCを修理し、機能アップするなどの改良を加えて、正常な動作をすることが確認できたものを専門のNPOを通じて海外寄贈していきます。昨年はフィリピンとカンボジアに寄贈し、現地で若者教育のために使用されているとの報告をいただきました。近年、パソコンのソフトを使う取り組みは多くありますが、ハード内部を開けることや修理することはほぼなくなりました。参加した小中学生にとっては夏休みの良い自由研究になったと思います。

若者たちに定期的にこのような取り組みをすることで、いつしかパソコン機器の仕様に従って操作をする習慣から、ハードの知識を加味することによって、電子機器が身近になり、機器はオペレーターの意図のままに動く道具であることに気づいてくれることにもなります。

奈良は若者の県内就職率がとても低い県であり、県内の学校を卒業しても半数以上の方が県外に就職していきます。魅力ある企業や働く場が少ないことも理由になりますので、地場産業の新事業化や情報通信などこれから成長が期待できる産業分野の育成にも力を入れていくことの必要性を感じています。

ぷろぼのは今後もそのような活動に協力していきたいと考えています。

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感謝とはじまり

7月26日から29日まで、ぷろぼの福祉ビルのお披露目の会を開催しました。お暑い中、多くの方にお越しいただき、暖かいお言葉や励ましをいただきました。また数え切れないほどの素敵なお花をお贈りいただきました。心からの感謝、感謝です。

職員もこの日に備えて、施設の清掃や飾りつけ、事業の整備や訓練の確認、利用される方への細やかなサポート等を進めてくれました。ぷろぼの食堂ではこの日に備えて、食材の買い出しやメニューの試作、手際よくお客様をおもてなしする準備、また他の事業所からは利用者と職員混成で音楽の演奏を用意してくれました。とかく障害のある方は急ぐことや多様な対応が弱いとの認識がありますが、今回はみなさんチーム意識をもって役割分担で楽しく働いてくれました。日ごろの訓練の成果がここ一番で発揮されたことが大きな喜びになりました。

5階建てのビルの1階が食堂で5階がセミナー室になっています、お越しいただいた方からさっそくセミナー室の活用や食堂での集会などのご予約をいただきました。“木の香りのするこの施設を使ってみたい”このようなお言葉をいただくと、この施設を地域のために活用する、このような思いの芽が出始めましたことを実感しています。

そのような折に奈良県から「福祉施設の木質化を推進する」趣旨の通知が来ました。林野庁ではなく厚労省からで、そこには福祉施設の木質化は、人に優しさと温かいぬくもりを与える取り組みであることが示され、さらに積極的にCLT工法を活用すること等が書かれていました。おまけにCLT工法を説明するために、日本CLT協会が発行する、「これを読めばCLTがわかる」資料が添付されていました。

福祉は、概ね、高齢者、障害者、子どもたちを対象にしています。これらの福祉施設を木質化することは、利用する人に、木の香り、体感、空気感で満たされた空間が、温かさ、落ち着き、快適性を提供することになる、との目的があります。できるだけ自然の素材を使うことが人に良いことについて、私たちはすでに知識を持っています、例えば、食品は無農薬野菜、産着等にはオーガニックな衣料、薬草からは薬膳料理があります。建物についてはまだそれが一般的ではありませんが、ようやく木質化が家屋から施設や事務所に広がる取り組みが始まろうとしています。林野庁が推進している「木づかい運動」が厚労省の「人に優しい取組」に広がってきたのです。

この機会に、「人」は生き物であること、自然の要素に触れて生きることが似合っていることを、素直に受け入れることの大切さを感じています。

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福祉にかかわる意味

私は50才まで民間企業で働いていました、その際に働く目的や人生の目標などを真剣に考えることはありませんでした、ただ概ね目の前にある課題に取り組むことが日々の仕事であり、目的でもありました。特に「ものづくり」という視点を大事にして、企業内で完結する取り組みについて、思いの大半を注いでいました。

それが病気をして「声」を失い、その時点で従来の仕事を続けることができないと判断して整理をしました。病状は深刻な状況でしたので、もし生き続けることができれば・・など将来のことを想像する余裕はまったくありませんでした。闘病生活の末にどうにか生きることの可能性を得て、新たな人生を歩むことになりました。

新しく命をいただいたことで、ようやく未来を生きることを考え始めましたが、正直その時点ではなにも新たなことを思いつくことができなくて、不安がいっぱいでした。この年齢で慣れ親しんだ仕事を失ったこと、これから新たに挑戦することの大変さを痛感していました。

そのような時に「社会」との関わりで生きていくことに触れました。私にとっては新たな視点であり、それが市民活動や福祉活動でした。これまではたえず自分が主体になって「もの」を具現化することをしていましたので、「人」と関わり、寄り添って働き生きていくことは新たな世界を知ることになりました。

出発はこのようなことでしたが、それからが大変でした、知らない言葉が目の前を飛び交うのです。日本語なのですがなんとなく意味が分かる程度でした。猛勉強はここから始まり、市民活動、福祉のこと、障害のこと、心理のこと、脳科学のこと、哲学のことそして働く仕組み、生きる仕組みなどの書籍を読みあさり、セミナーを受講しました。おかげさまでどうにか10年間、福祉分野にかかわることができています。

私は年齢を経て「福祉」にかかわることで福祉の本質を理解できたと考えています。「人」を大切にするとは、どのような方とも対等で平等であり、「人」の尊厳を認めることなのです。比較することや違いをことさら強調することではなく、ましてや恐怖や危害を与えることではないのです。その精神を伝え理解してもらうことは大変なのですが、福祉はそれを伝え続けることに意味があると信じています。

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ぷろぼの福祉ビルのお披露目

梅雨の晴れ間に奈良の大宮町に木造5階建ての福祉ビルが現れました。少し見上げる感じで青空に福祉ビルの木肌が馴染んで見えます。外観は桧仕上げなので奈良らしさと共に上品な強さもあり、内装は杉の心材の赤身を使った落ち着いた仕上がりになっています。杉板は白い感じの印象がありますが、深みのある赤身が今の時代に新しい感覚を醸し出してくれています。

構造は、奈良の杉木をCLT工法によって7層のパネルにし、柱、梁、壁面になる部分に木材をふんだんに使用しています。最近の建物では柱は角材で厚みがありますが、壁部分は、コンパネに断熱シートを挟み表面をクロス仕上げにするのが一般的ですが、この建物は壁厚がなんと39cmもあるのです、まるでヨーロッパの石造りのお城並みの厚みがあり、壁厚のすべてに木が詰まっているのです。

厚みのある杉材のおかげで室内には赤身の色合いと共に自然の香りが蔓延しています。奈良のオフィス街である大宮町の一角に森の要素をもった施設が誕生しました。また壁面には柱の突起部分がなくなりますので、壁全面がフラットになり、壁に沿って眺めてみると20mを超える奥行きの長さが強調されてよい味わいを出しています。

竣工してからもありがたいことに多くの方がお越しになられています。森や木の関係者、建築施工の関係の方、行政の方、また福祉の方たちも来ていただいています。“奈良の木”が取り持つ縁がここで広がっています。

1階の食堂の壁には12種類の奈良の木の板をはめ込みました。エノキ、クス、クリ、ケヤキ、サクラ、サワラ、スギ、トガ、タブ、ヒノキ、マキ、マツになります、どれがどの板なのかを探りながら壁を眺めるのもいいものです。ふと小学生にこの12種類の木に触れてもらいたい思いになります。“君たちの未来は木を大切にする世代になってほしい”このような思いが沸いてきます。

よくなぜ木を使い、ましてやCLT工法で福祉ビルを建てたいと思ったのか、との質問を

いただきます。たくさんの理由の中から、一番に伝えたいことは、“自然と共に生きること、それがこれから大切になる”、また木に囲まれた部屋の空気感が人には最もよく、快適にしてくれる、このようなことを話します。

木造5階建ての「ぷろぼの福祉ビル」は、奈良の木をCLT材として使用した初めての建物であることで、多くの輪が広がってきています、今後徐々に障害福祉活動や事業にも話題が広がってくることも期待しています。

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