未来の働き方

いよいよ正倉院展が始まり奈良の秋本番です。1300年を超えて宝物が管理され、現代によみがえる姿に、奈良時代にこれだけ精度の高い工芸品を作る技術があることの驚きと感動が湧き上がります。
障害者福祉の分野も日々、あれやこれやですが制度としては2年後に大きな改定がありますので、そのための検討会等が実施され、その報告が厚労省のHPに掲載されるようになりました。基本的なことになりますが、福祉制度に民間企業と同様の成果主義を取り入れるかどうかについてです。前回の改正で、福祉事業所が利用者に支払う工賃額や企業就職した人数によって、国から支給される支援費額を決める成果判断が示されました。
平成18年に障害者自立支援法が制定され、のちに総合支援法になりましたが、その趣旨は、障害者も働き経済的に自立した生活ができることになりますが、福祉関係者はそれを実現できるサービスを提供するようにとのことです。この具体的な課題として、支払う工賃の向上や就職者数が対象になりました。しかし今でも長く障害福祉に関わっている福祉事業者では、シェアの概念が一般的です。事業所で働き得た利益から工賃が支払われるのですが、多くは総利益を利用者数で割り均等に配分しています。長く働く方も、少しの時間しか働けない方も、また生産能力が高い方も低い方も同額になっています。
民間企業では、組織があり、役職が決められ、業務が分担され、個人や部署の成果に応じて利益が配分されますが、福祉事業所の利用者は、組織も役職もないのが一般的です。主な理由は障害の程度にあります。障害認定が働く能力に準じてはいないのですが、障害によっては働くことに制限が加わることがあります。常時通勤できない方、特定の作業ができない方、安定して長時間業務を遂行できない方、文章や数字などの理解に課題がある方等、障害特性と労働との関係は多様になります。またその日の状況によっても働く能力が変わることもあります。
このようなことでシェア概念が定着したのですが、新たな制度ではその考えを尊重しながらも、個人やチームでは、相互にできないことできることを補完し、協力することで生産性を高めることができるとの見解です。障害者福祉の就労支援は個々の障害特性を正確に理解し、それに応じて業務や時間、職場環境などを決める必要があります。この働き方が未来の日本の働き方になるような気がしています。少子化、IT化で個人の尊厳や思いが主になると企業に合わせた働き方から、労働者に合わせた働く環境を提供することが企業に求められるようになります。
障害者福祉の就労支援の現場にはその可能性に取り組んでいる意識が生まれています。最近、ぷろぼのに見学に来られる方が増えたのも、このような気付きがあるのかもしれません。

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