現実領域

今、現実に起きていることを私たちは事実、リアルな現象としてとらえています。この時間、この場所の事実を受け止めて、それが過ぎ去ると「過去」のこととして記録して、記憶にとどめておきます。この繰り返しが世の中であり、生きていることになります。
一方、ネットワークでSNSの活用が増えてくると、現実のこととは別に、そうかもしれないと想像する世界が生まれてきます。リアルにたいしてバーチャルvirtualと表現され、仮想と訳されています。Virtualの本来の意味は事実的な、実質的な、実際の、訳であり、仮想として、現実とは違う仮の現象を表す言葉として使われ、少し違った意味を持つようにも思えます。この事実的な意味を現実に置き換えてみると、例えば、旅行で楽しい時間を過ごすことを想像すると、これまでの旅行体験から理想とする旅行の過ごし方がつくられてきます。それを理想として徐々にその人の旅行のスタイルがつくられ、いつしかそれが現実にそのような旅行をしていないのに、理想とする旅行になり、事実として記憶されるとの見解があります。これは人の記憶が時間と共にいくつか希望するものに引き寄せられて、自然に理想化されそれが事実的になるようです。
障害福祉の就労支援の分野でも、現実の訓練から学ぶことを蓄積して、それらから徐々にその人にとって分かりやすい事や興味深いこととして、ストーリー化してまとめていく支援があります。よく初級から中級、上級へとステップアップする手順と似ているのですが、最後の取りまとめの段階で目標とする基準を想定し、それを想像しておくことで、上級コースを修了した時点で、それ以降の訓練を受けていなくても理想とする訓練成果を具体的に広げることが自然にできるようになります。
現在の技術では、その理想とする目標をVR「仮想現実」としてビジュアル化することができるようになり、それをヘッドマウントディスプレイで3次元の仮想空間で動きを実感することができるようになりました。ゲームのように現実の世界とかけ離れた空間であれば、現実とは違うものと認識しますが、それが現実のものと類似していると、現実のように記憶されます。これから障害福祉の分野でもすべてのことをリアルに体験しなくても、それを集約したものを事実的な現実として体験することで、急速に経験から学び成長を促すVRによる支援ができるようになります。まだまだコンテンツや評価等について医学的に検証が必要なこともありますが、総合的に可能性を追求することになります。

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