投票から

先週、参議院議員選挙の結果が出て、与党支持の民意が示されました。前回から選挙権が18歳に引き下げられたのですが、投票集計から10代の投票率が3割強とのことでした。また全体の投票率も5割を割り込み、低い結果になりました。よく誰がなっても変わらない・・との意見がありますが、たとえ投票する候補者がいなくても、極端に言えば「白票」でも投票することに何がしかの意味があると思っています。
そんな選挙でしたが、れいわ新選組がSNSを最大限に活用して、若い方などに街頭演説会に参加するように促していました。結果的に多くの支持を得て2名の方が当選されました。お二人とも重度の障害がある方なので、従来の議会の環境では議員活動に支障が出るとのことで、急遽、議場のバリアフリー化や電動車いすのスペースを確保する工事がされていると知りました。
障害者福祉では、“制度を決めるときには、当事者である障害者を排除して決めないでください。“との思いがあります。日本が国連の障害者権利条約を批准して、ようやく障害者差別解消法などが制定されて、障害者の意思が反映されたかたちで、配慮のある職場や公共施設などの環境整備が始まりました。
私も20年前に障害者になったことで、以前ならば見逃していたことが気になるようになりました。例えば、駅の改札からホームまでの小さな段差が、歩行に困難がある方の視点では、これを簡単に超えることが難しいことが分かるようになりました。また、職場の蛍光灯のフリッカーやお店の騒音やエアコンの音が気になる方がいることも知りました。その対策として、職場でサングラスをかけることや、イヤホンをして働くことができるようにもなりました。
今回の選挙で舩後さんと木村さんが当選されました。これまで重度の障害のある方が初当選されることはなかったことですが、これを機会に、彼らが日頃から思っていることを法律や制度として具体化するために尽力されることを期待しています。
有権者が投票に行くことは、“一票”で変わることなどない・・との思いから、“一票”の重みを大切にすることで、そこから新たな制度が生まれことがある、そのような可能性の輪を広げていくことも大切なことだと感じています。

Posted in 障がい福祉の現場報告 | Leave a comment

はたけ

私は20年前から市民農園をお借りして野菜づくりを始めました。夏と冬野菜をいつも20種類以上栽培しています。自家消費なので、そんなに多く栽培することもないので、適量を楽しみながら収穫しています。その後、徐々に福祉事業が忙しくなってきたので、週に1度しか畑に行くことができなくなり、長くゆっくり栽培する野菜は、畑に植えて、日々、なにかと面倒みないといけない野菜は自宅の庭に畑をつくり、栽培を続けました。
今年も、市民農園では、じゃがいも、とうもろこし、生姜、すいか、プリンスメロン、かぼちゃを栽培し、庭には、トマト、きゅうり、なす、とうがらし、パプリカ、アスパラガス、青しそを作っています。庭で栽培している野菜は、ほぼ毎日、芽の剪定や誘導から、追肥をして、収穫になります。特にきゅうりは大変で茎の成長が早く、すぐに実が大きくなるので、収穫が2日遅れると、“きゅうりが瓜”に変身します。
庭の野菜の収穫は妻が手伝ってくれますが、栽培経験がないので、適切な収穫時期が分からないようで、“瓜”になったきゅうりを見ては笑っています。ただ、これも冬瓜のように出汁で煮て、冷やして食するとなかなかのものになります。市販野菜との違いは、歯ざわり、甘みと味の濃さになります。また農薬や化学肥料を使っていないので、ほぼそのままの味を楽しむこともできます。
すこし多く収穫できると近所や妻の友人に配っているようで、時々、“野菜おいしかったです”と言われるのですが、特に面識もないので、“あーそうなんですね”、と適当に相槌をしています。
そんな折に、大宮町自治会の協力でぷろぼの本部の近くの水田が市民農園になるとのお話をいただき、さっそく3区画をお借りすることにしました。昨年まで水田でしたので、土は粘り気があり、少し深く掘ると強固な粘土層があります。水田は水を貯めるための土づくりをしますが、畑は水はけをよくするために土を柔らかくします。まるで用途が違うので、これから、よく耕し、腐葉土などを入れて、粘土に空気が含まれる空間を作る作業が必要になります。
準備を進めて、秋には冬野菜の大根、人参、蕪、そら豆、ネギなどを栽培することにしています。また市民農園なので、町内の多くの方と知り合いになれることも期待しています。

Posted in 障がい福祉の現場報告 | Leave a comment

当事者の意識

先日、奈良で日本保健医療行動科学会の学術大会が開催されました。テーマは“当事者として感じ、語らう”で医療、看護、心理、福祉など多様な分野の研究者等が参加されました。大会長は東大阪大学教授の梓川一先生で、社会福祉法人ぷろぼのがまだ無認可の作業所時代から福祉事業の助言をいただいていた方です。事前にお声かけ頂いたこともあり、22日に梓川先生の基調講演“ささえあいから生まれる苦悩の語りと価値認識の変容”であり、ご自身の闘病生活と過ごした日々の様子を体系的にまた思いを具体化されてお聞かせいただきました。とても心に沁みる良い時間を過ごすことができました。
ここで語られた「当事者」は多くは障害や病気を患っている方として表現されていました。議事が進行するにしたがって、私は「当事者は全員」との思いが芽生えて、「当事者の意識」をもって主体的に生きることの大切さを感じるようになりました。当事者とは特別な対象ではなく意識の持ち方によって価値が決められることになる手順を知ることもできました。
学会では、ナラティブをキーワードに「語る」の意義から、従来のように語る側や聞く側が決められているのではなく、聞く側の悩みや思いを知り、その立場で語る側が伝える工夫をするなど、決して一方通行ではなく双方向で語り合いをすることで、言葉の根底になる気持ちや心情に触れることができとの思いがあり、多様な話題も当事者として理解することができるようになるとのことでした。
福祉事業でも、「当事者意識」は重要なテーマになります。法人なので現場を担当するもの、相談や就労支援で企業を担当するもの、また運営を任されるもの等がおり、それぞれに業務の役割が与えられることになります。いつのまにか雇うもの、雇われるものや上司や部下などの関係が生まれることもあります。福祉分野は「当事者」が障害者になり、特定の考えや心身に課題がある方として、弱い印象を与えることがあります。支援する側とされる側の関係ができ、いつのまにか慣れからくる思い込みが生じます。それでも法人に関わるすべての方が「当事者」として、自らが法人を運営する主体者として、思い、行動することができる環境づくりの重要性を感じています。
これからは当事者の範囲を広げ、いろいろな当事者があり、障害者だけでなく職員も関係者もすべての方が当事者であるとのユニバーサルな意識をもつことができれば、福祉が掲げる“お互い様の精神“に近づくことができます。
多くのことを身近に感じることができた学会でした。

Posted in 障がい福祉の現場報告 | Leave a comment

自己判断と申請

昨今、高齢者の交通事故が多発しているとの報道があります。保育園の子どもや家族が犠牲になることはとても痛ましく、ニュースを直視できないこともあります。事故後に高齢運転者が、アクセルとブレーキの踏み間違いや気が動転して正常な判断ができなかったと弁解されています。私も古希を過ぎましたので、運転の精度は同乗する妻によりますと以前よりも荒くなったとのことです。細心の注意で安全運転を心がけていますが、それでも心身の能力低下を感じています。
この報道が各地で高齢者が運転免許を返納する動機付けになっています。これは本人からの申請によりますが、犠牲者のお気持ちを考えると、それだけではなく、安全装置の開発や生活インフラの検討と共に運転能力を厳格に判断する必要性を感じています。
障害者手帳の交付も自己申請になっています。3種類の手帳がありますが、どれも医師や専門機関の診断書や意見書と本人の申請書を添えて、市町村の障害福祉担当課に提出する必要があります。申請して障害者手帳の交付を受ければ、障害者として多くの社会保障制度の支援を受けることができます。
申請の可否や時期については判断が難しい課題もあります。障害には先天性のものと後天性のものがあり、先天性の障害は幼児期に障害認定されますので、家族の方が関係機関に手帳の交付を申請することになります。また後天性の障害は、本人が交付申請をするかどうかを判断することになります。この制度はあくまでも申請方式なので、本人や家族が申請しなければ障害者認定されないことになります。
手帳の申請に付随する支援制度についても同様にすべて申請方式になっています。例えば、NHK受信料の免除、高速道路の通行料、長距離移動の運賃、美術館等の入館料、福祉サービスの利用等も申請すれば、障害種別や程度によって給付や利用ができるかどうかを判断してくれます。これらは障害者も社会の一員として健全な生活を送ることができるための支援策になります。
一方、障害者手帳の交付や各種支援を申請しない方もまだまだたくさんおられます。お聞きすると、「障害者」に認定されたくない、また認定されることで社会の対応が変わることを危惧するとのことです。また手帳は取得しているけれども、社会を意識して支援策を申請していない方もおられます。障害者福祉サービスの利用でも、福祉施設を利用することを懸念して、障害のない方が利用する機関に相談される方もおられます。
すべては本人の判断によるものですが、福祉の役割として、社会を意識しなくてもよい、ユニバーサルな生き方や判断が自然にできるようにしていきたいものです。

Posted in 障がい福祉の現場報告 | Leave a comment

新農福連携

奈良県が本格的に障害者が農業に従事する取り組みを開始しました。これは障害者が農家に採用され、栽培や収穫、加工に関わった食材には特定のマークを付ける事業のようです。数年前から県の担当者が農家を訪問して、主に養護学校生を対象に実習の受け入れを進めていました。奈良は柿やイチゴ、また大和野菜が栽培されていますが、近年、若手の農業従事者が少なく、人手不足が顕著になっています。福祉による農業の取り組みを「農福連携」事業と称していますが、全国的には事業化されたものは少なく、憩いの場や体験の場になっているのが一般的です。
全国に農業に従事する人たちは200万人程度になり、6割以上が高齢者でそのうち基幹農業者は6割程度で、新規就農者は数万人で減少を補うことができない状況です。新規就農者には農業技術を習得し、農家になるための支援策も準備されていますが、根本的な対策にはなっていないようです。
農業者にならない理由に、収入が低い、仕事がきつい、技術が難しい、などがあります。自然相手の環境に対応する技術と共に、流通ではサイズや見栄えなどに細かい規格が求められますが、その割には収入が安定しないのが現状です。例えば、大根が1本100円、ほうれん草が1束90円など、消費者の家計には優しい値段ですが、生産者には厳しい価格になっています。一般的に農業者は収穫物を農協に運び、相場価格で取引しますが、概ね市場価格の半額以下の収入になります。また栽培法には、露地栽培、ハウス栽培、水耕栽培などがありますが、日本の農業は少ない品種を大量に効率よく栽培する単一栽培が主でこれで利益を得る仕組みになっています。なので、コメ農家、たまねぎ農家、メロン農家などの呼び名がついています。このような栽培法にすることで、年間を通じて決まった作業になるので、そこに障害者が参加できる余地が生まれます。水耕栽培では毎月収穫できるレタスなどは、障害者がポットに種を播く定例の作業が生まれます。
ぷろぼのは3年前から露地栽培でよもぎを4反栽培しています。獣害が少なく、栽培法が簡単で、国産がほぼなく、市場価格が安定していることが要因になっています。これを餅などの食材やお茶、及び浴用剤として商品化しています。農福連携事業は、農業の担い手不足対策、障害者の収入確保の目的がありますが、それとは別に、その事業が休耕地の畔の草刈、水路の掃除などの担い手対策になり、農地の維持管理の役割を果たすことになります。私は18年前に病後の体質改善や体力維持、また退屈しのぎの意味もあって、市民農園をお借りして野菜作りを始めました。田舎育ちなので経験はなくても、どうにか野菜を育てることができました。農業は大切な産業なので障害者だけでなく、障害のない方も農業分野に参入していただくことを期待しています。

Posted in 障がい福祉の現場報告 | Leave a comment